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『堕ちる果実』のタロット解説

同僚の皆様!お疲れ様です!占い師にしてオタクにしてプロデューサー、八木伊吹雪です!

先日『アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ』には行われていたイベント、『堕ちる果実』いかがでしたでしょうか?私はキャラも曲もコンセプトも最高に好きだったので心躍りながら楽しませていただきました。

(八木は村上巴、藤原肇の担当です。黒埼ちとせは担当じゃなくて彼女の眷属です!!)


今回はコミュ内で登場したタロットカードについて解説をしていこうと思います。そしてあわよくばこの占い沼に足を踏み入れてくれるプロデューサーさんがいるといいなぁと…。

「占い」と言えば「タロット」と大体の人がイメージするくらいにはその地位を高めたタロットカードに少しでも惹かれて下されば幸いです。

なお今回記載するカードの意味はごく一部、更にコミュに合うものを抜粋しているので、興味が出た方は更にたくさん調べていただければと思います。


【タロットカードとは】

アルカナとして知られている78枚で一組のカードで、元はゲームとして用いられていたが、現在では占いの道具として用いられています。

問いに対して数枚引いて並べ、それぞれのカードと並べる場所に与えられた象徴的な意味に基づいて意味を解釈して占うのがタロット占いとなります。

カードには正位置と逆位置が存在し、それぞれ意味が異なるため、タロットカードの基本的解釈は78枚×2=156に及びます。(それに加えて他のカードとの組み合わせや、占い師独自の解釈とか色々加わって来るので実際はもっと大きい数字になります)


【堕ちる果実コミュ タロット分析・解説】

~オープニング『Annunciation』~

吸血姫の手を引いて、堕天使は新たな詩篇を紡ぐ。

輝きの陰に潜むのは、なりそこないの哀れな悪魔。

小さな不幸が波を立て、悪魔は牙と翼を得た。

かくして異端者たちによる偽りの物語が幕を開ける。

筋書きが揺らぐことはなく、ペンは奔るだろう。

そこに迷いが、孤独が、嘆きがあろうとも。(デレステコミュ内より引用、以下省略)


登場タロット:月(正位置)、悪魔(正位置)

コミュの意味は英語で受胎告知。

月は古来より詞や短歌に詠まれるように美しく魅力的な天体ですが、タロットにおいては太陽と対の存在としての性格が大きいため、イメージや解釈は暗いです。またギリシャの神様と同じく太陽は男性、月は女性を象徴します

月の正位置の意味は未来への迷い、中途半端な状態から来る不安、誤解を受ける、仕事に関しては疑問を感じながら働く、など。作中ではちとせの現状と、未来への暗示と見ていいでしょう。

悪魔のカードに描かれているのは角を生やした神です。この神とはキリスト教発生以前に信仰されていた土着の神であり、キリスト教社会では悪魔として神格を堕とされている存在です。(唯一神以外は神ではないというのが向こうの宗教の価値観なので…)

現在の一般的なタロットカード(ライダーウェイト版といいます。以下ライダーウェイトと書かせていただきます)では、テンプル騎士団や魔女によって信仰されたバフォメットとして解釈されます。ちなみにこの角を生やした神の源流となる存在はケルヌンノスだとか。

悪魔の正位置の意味はダイレクトに悪意のある人物の存在、堕落した世界の誘惑、裏がある仕事や儲け話、苦痛な仕事、辞めたくても辞められない、など。ハイ、これは明らかにゴシップ誌の記者のことですね。イブは蛇にそそのかされたことで知恵の実を口にしたので、自ら堕落していくというよりは、第三者によって苦しむ状態にされるといった方がイメージに合います。


~第1話 『Writing on the Wall』~

少女は愛した。自分の中の神とも言える堕天使を。

少女は求めた。自分だけが理解者たりえる世界を。

物語の紡ぎ手ではない自分には、愛する者との

隔たりがあるということも、少女は知っていた。

――悪魔がささやきかける。その隔たりを砕けと。

愛は異変と共に歪み、くすんだ花を芽吹かせる。


登場タロット:死神(正位置)

どこかの赤ちゃんが使っていたスタンド名は『デス13(サーティーン)』。キリスト教で不吉とされる数字のカードがこちら。ライダーウェイトに描かれる馬に乗ったドクロの騎士は『ヨハネの黙示録』に記された終末に現れる青白い馬に乗り、病をもたらす4番目の騎士、ペイルライダーとされています。

死神の正位置の意味は強制終了、物事の完全な終わり、中止、スッパリと別れる、など。ちょっと苦しいかもですが当てはめるとしたら蘭子との関係はないもの、彼女は変わってしまったと嘆くモブ子ちゃんの現状かなと。

死神と言えば不吉なイメージですが、死は誰にでも訪れるニュートラルなものなので、終わりと始まりも象徴するので、意外と悪いことばかりでもなかったりするかなとは個人的に思います。(なので個人的にちょっと解釈違いとかそんなことは…私的には大アルカナで考えるなら力の逆位置かな…)


~第2話 『You know my name』~

現実から隔絶された世界では、煙が真名を覆い隠す。

偽りの姿で真実を語り、寄り添うつがいの鳥。

飛び立つための翼をもいだのは、名無しの少女。

芽吹いた花が、愚かで哀しいこの世界に根を張った。

救われない者たちの憎悪と嘆きに染まった空は、

月という導も見えず、偽りの明星すら翳らせる。


登場タロット:星(逆位置)、吊るされた男(逆位置)

星のカードに描かれる星は八芒星(オクタグラム)になります。この星は東方の三博士に救世主の誕生を知らせたベツレヘムの星を表現するのもこの八芒星で、いわゆる☆マークより神秘的な力の強い星マークです。

そんなキラキラ神秘の星が逆位置になった時の意味は、理想が崩れて幻滅、悲しみ、叶わない希望、手の届かない人、など。モ、モブ子ちゃん!!!(頭抱え)

陰の脅迫者さんへ、男の頭が下になっている状態がカードの正しい向きです。吊るされた男の不思議な点は、吊るされている割に安らかな顔をしているところです。このカードの源流は世界樹ユグドラシルに9日9晩自らの体を吊るし、ルーンの知恵を得たオーディンという説があります。そのため、試練だったり努力だったりといったものを指すカードになります。安らかな顔はランナーズハイという解釈もあります。

逆位置の意味は報われない努力や苦悩、その状態、尽くし損、モブ子ちゃんと記者を象徴するカードですね。コミュしんどすぎてうう…ところでどうでもいいけどシーシャが楽しめる場所は実際新宿歌舞伎町にあったりします。


~第3話『Flight into the Night』~

それは堕天とは異なる堕落。あるいは逃避行か。

堕とされた鳥たちは、翼をもがれてなお足掻く。

寄る辺に生きる者は背徳の果実を欲し、

刻まれた言の葉の上に、鮮やかな彩りを垂らした。

書き足される頁。傾く天秤、愚者の選択。

物語の結末は、混沌の果てか、それとも。


・登場タロット:塔(逆位置)、愚者(正位置)

出たよ出ちゃったよ!って思いました。占い師が最も出てほしくないと思っている塔のカードです。バベルの塔(=神の怒り)を表すこのカードに関しては、正位置は最悪、逆位置は正位置に比べりゃちょっとマシってくらいでそんなに大きな違いがないです。22枚で占っているならまだしも、78枚で出たときは本当に最悪なので気を付けてくださいね…。でも逆位置でよかったよ…。

逆位置の意味は崩れる手前の緊迫状態、突然のトラブルに動揺する、倒産やリストラの危険性など。ちなみに正位置だと突然襲う崩壊的な非常に強い表現に変わります。いや本当に正位置じゃなくて良かっ(ry)

ところで…愚者って一体何なんでしょう…と思い改めてggってみたところ、“通常の知性や理性を備えていないために,劣等な者として一般に排除の対象となる存在。 知能的に低劣というよりも,むしろ通常の思考回路を経ない言動と行為のために,かえって理性に隠蔽されることなく人間本来の霊能,弾力的な発想,強力な挑発力を発揮することがあるとされる。(コトバンクより引用)”なるほどわからん。なるほどわからんな存在またはその人って思ってもいいのかなと私は思います。ドラクエにおける遊び人がジョブ的に近そう。あとはジョーカーだったり、トリックスターだったり。大アルカナの中でも立ち位置が結構特殊なやつです。

正位置の意味は気ままな冒険家、自由な行動、思いつきの行動、純真無垢な精神など。うーん、これは圧倒的一ノ瀬志希…(知ってた)


~第4話『Secret Coronation』~

怨嗟、慟哭。もはや歪みは正せない。まるで楽園から

追放されるかのように、闇の者たちは夜へと逃れる。

身を寄せ合い、星を追い落とす魔手から隠れて。

偽りという鎖で縛られたふたりは解放を求める。

真なる姿を知るのは、互いの瞳に映る眼のみ。

救済の力を得るため、ふたりは冠を与え、戴いた。


・登場タロット:女帝(正位置)

coronationが戴冠式という意味です。この女帝はキレイなドレスを纏い、立派な冠や杖を持ち、自然に囲まれています。ライダーウェイトではふっくらした姿で描かれているため、栄養状態が良いことは勿論、妊娠中だという読み方もあります。

正位置の意味は溢れる満足感、愛し愛される喜び、好きなことを仕事にする、充実感あふれる仕事、など。悲劇に見舞われた蘭子とちとせですが、2人の心は通じ合い、共に仕事のパートナーとして進んでいくこと、闇の住人として闇の中で苦しむ者を救おうと決意するシーンが描かれていました。溢れ出る魅力と自信は女帝の正位置らしい状態です。

ちなみにライダーウェイト版には金星のマーク(♀)が描かれているのですが、金星は女性らしさや魅力の象徴でもありますし、ヴィーナス、イシュタル、ケツァルコアトル、ルシファーなど神として崇拝されてきた星です。そう考えるとアイドル(英:偶像)ってすごく金星っぽいなぁと思います。


~第5話『Fortuna Regina』~

救われない者たちを掬い上げる、救済の女王――

『Fortuna Regina』の名において、本は閉じられる。

真実は闇の中。そう、全ては閉ざされた夜の物語。

世界を欺いた先に昇るのは、眩い太陽。夜を隠す朝。

戯曲は幕を閉じ、新たな幕が光と共に迎えられる。

薄明の空の下、筋書き通りに運命の輪が回り出した。


・登場タロット:審判(正位置)、運命の輪(正位置)

このユニット名はラテン語またはイタリア語で『運命の女王』という意味です。美しい~かっこいいよ~闇に飲まれちゃうよ~~~~(号泣する絵文字を連ねたいオタク)

審判の正位置は復活の願いが叶う、物事が正しい方向に進む、良い知らせが入る、失敗した事業が復興する、など。正義とは違い、裁きというよりは収まるべきところに収まるという感じ。一連のトラブルの結末そのものですね。

世界の1つ前のカードのため、カードが持つパワーは強め。(ピンと来ない方もいるかもしれませんが、カードには意味から来る性格があったりします!伝われ!)空からラッパを吹く天使は終末を告げる黙示録の天使(トランぺッター)です。天使とか聖書のエッセンスが描かれたカードってなんか強いイメージある。

ユニット名に「運命」ってあるのだから「運命の輪」は絶対出てくるよね!って思ってましたw

運命の輪の正位置は突然舞い込む幸運、チャンスが訪れる、良い偶然、など。割と一時的な幸運を指します。一時的というのがこのカードの重要な部分で、今回のシチュエーションには合いませんが、試験に合格することを指したりもします。運命の輪の示す幸運は合格した地点で終わりなのです。『Fortuna Regina』はスタート地点に立ったに過ぎません。2人の運命の歯車はここから回りだすのです。


~エンディング『Live and Let Lie』~

夢。それは物語の紡ぎ手が見るもの。名無しの少女は

夢という名を得、悪魔は只人となった。力の代わりに

ペンを持ち、それぞれの物語を紡いでいく。

太陽が統べる朝と、月が統べる夜は交わらない。

ふたりの女王は、夜の民を率いることを選んだ。

これは序曲だ。異端者たちの女王が往く、覇道の。


・登場タロット:魔術師(正位置)、世界(正位置)

魔術師のカードには四大元素を指す杖、剣、カップ、コイン、更に魔術師の頭上には∞マークが描かれており、この魔術師の持つ優れた能力と、止まることのない成長を象徴します。

魔術師の正位置の意味は無からの創造、自信を持った行動、新たな展開を切り開く、単独で手腕を発揮する、あふれる体力になります。どっからどう見ても劇中のプロデューサーですね。いやほんと敏腕すぎて真似できねぇよ…。

こういう形で一連のトラブルを終わらせることについて「いやしっかりやらせろよ!」と思う方もいるかもしれませんが、あくまでも彼女たちはフィクションのアイドルですし、真実は夜の闇に葬られました―というコンセプトは『Fortuna Regina』によく合ったものなので、プロモーションとしては成功してるなと個人的には思います。

ラストに出てくる世界のカードは大アルカナ最後のカードになり、完成を意味します。

世界の正位置の意味は完成から来る幸福感、最良の結果にたどり着く、精神的に成長する、といったまさにラストにふさわしいカードになります。


以上が『堕ちる果実』コミュ内に登場したタロットの解説になります。基本的には物語の展開に合った意味に沿うカードが選ばれているなと思います。私もタロットは何となくわかるというレベルなので記事を書きながら非常に勉強になりました。


劇場の蘭子、まさにタロット勉強中感すごいあってかわいいwww

今回は絵に描いてあるデッキの厚さ的に大アルカナだけのデッキと見ていいでしょう。初心者さんはまず大アルカナの勉強から始めます。そして「自分タロット分かる」域に達したら小アルカナとコートカードの勉強をし、「自分タロット何にも分かりません!」状態になり、最終ゴールは「自分タロットチョトワカル」に至る訳ですね。

タロットカードの絵1つ1つにはちゃんと意味や起源があって奥が深く、眺めているだけでも楽しいので、興味があったら本当に!是非!触れてみてください!


【参考文献】

『ザ・タロット』藤森緑著 2011年初版発行 説話社

『不思議オカルト・ブック』B・W・マーチン著 1993年初版発行 たま出版

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